ギックリ腰を繰り返す理由とその対策
ギックリ腰は一度なると癖になるとよく言われますし、治療の現場でも何度も繰り返しギックリ腰になる方を診てきました。
ずばりギックリ腰を繰り返すのはギックリ腰になる原因が理解できていないからです。
ここではギックリ腰になる原因とその対策について詳しくご紹介していきます。
そもそもギックリ腰とは?
ギックリ腰とは急性腰痛の事です。
痛みで動けないくらいの腰の痛みをギックリ腰と呼びます。
ほとんどの場合患部に炎症を起こしている為、症状が出てから3日目に痛みのピークを迎える事が多く、それ以降は少しずつ炎症が収まっていくため段々と痛みが引いて行くのが特徴です。
ですから、ギックリ腰になった場合はすぐに氷などで患部を冷やす事が大事になります。
※正しい冷やし方はこちらのブログ 「ギックリ腰の対処法は温めるのか?冷やすのか?」 を参考にしてください。
ギックリ腰は突然痛みが現れますが、もともと腰に異常が無い方はギックリ腰にはなりません。
ギックリ腰になるということはずっと前から腰に何らかの負担がかかっており、それが何かのきっかけで表面化したに過ぎません。
ギックリ腰になる本当の理由と正しい対処法を知ることで二度とギックリ腰にならない体を作りましょう。
ギックリ腰になる4つの原因
ギックリ腰になる理由には大きく分けて4つあります。
1.腰の反りがない
2.日常生活からくる腰の負担
3.自律神経の乱れ
4.内臓からの負担
今からその理由と対処法について1つずつ解説していきます。
1.腰の反りがない
筋肉というのは基本的に伸びたまま緊張すると硬まってしまいます。
下の絵のように骨盤が後ろに傾いていると腰の筋肉は伸びきってしまい硬まります。骨盤が後ろに傾くような姿勢を長時間する事が多い方はギックリ腰になりやすくなってしまいます。
では、なぜ骨盤が後ろに傾いたまま硬くなるのかというとデスクワークの方や長時間の運転など座っている時間が多い人はほとんどの場合腰を丸くして座っています。
いつも前かがみで仕事をする人も腰が丸まってしまいます。
腰を丸めるとそれとともに骨盤も後ろに傾いてしまいます。(腰が丸まっている=骨盤が後ろに傾いている)
腰が丸まると当然腰の筋肉は伸びた状態で緊張してしまい、そのままじっとしているだけで筋肉は硬まってしまうのです。
長時間座っていて腰の筋肉が固まった状態で不意に立ち上がったりすると硬くなった筋肉が急に引き伸ばされ部分的に筋肉が千切れ、炎症を起こしギックリ腰になってしまいます。
なので、座っている時もなるべく腰が丸まらないように反りを意識するように気をつけなければなりません。
対処法
1.バスタオルを2枚程重ねて丸めます
2.なるべく柔くならないように硬めにギュッギュッと丸めましょう。
3.両サイドを輪ゴムで止めます
4.椅子に深く腰掛けた状態で筒状に丸めたタオルを椅子と腰の間に入れます。
5.タオルを間にいれて座る際に無理に背中まで反らさないようにしましょう。
これをすることによって自然と腰が反った状態で座る事が出来るので、
腰が丸まらずギックリ腰にならない為の予防になります。
このように丸めたタオルを車や職場に置いているだけで簡単に予防出来ます。
2.日常生活からくる腰の負担
日常生活において腰にかかる負担はたくさんあります。
実は座っている時は立っている時よりも約1.5倍の負担が腰にかかっています。
必然的に座っている事が多い人は普通の人よりも腰に負荷をかけ続けていることになります。
他にも重いものを持つ事が多い仕事の人や家事や育児で腰を曲げる事が多い主婦の方、親御さんの介護で腰を曲げた状態で作業をする方などは想像以上に腰への負担は多くなっています。
日頃から腰にかかっている負担を自宅でストレッチを行なうことでその日の腰の疲れが和らぎ、伸びて硬くなってしまった腰の筋肉も緩める事ができます
腸腰筋のストレッチ
ギックリ腰になった時に1番硬くなりやすいのが腸腰筋と言われる筋肉です。
腸腰筋とは腰椎から出て骨盤と股関節に付いているインナーマッスルで骨盤や姿勢の安定性に非常に関連している筋肉です。
ギックリ腰になった時に前かがみになっている方が多いですが、その方のほとんどはこの筋肉(腸腰筋)が過緊張を起こしているためになります。
ギックリ腰を繰り返さないよう、ちょっとした合間にできる腸腰筋のストレッチ方法を紹介したいと思います。
1.片膝をついて伸ばす方の足を後ろに伸ばします。この時、左右に体重をかけてください。
2.膝をゆっくり曲げていき、片方は股関節の前の方を伸ばしていきます。
3.上半身を前に倒さず背筋を伸ばしていきます。この時気をつけてもらいたいのが腰だけを反らさずに上半身全部を起こしていきましょう。
4.伸びていくのを感じながら左右1分半を1日2〜3セット行なっていきましょう。
※痛みが出た際は中止してください。
3.自律神経の乱れ
自律神経とギックリ腰に何の関係が?と思われる方も多いと思いますが、自律神経の乱れはギックリ腰を誘発する大きな原因の1つです。その理由を説明します。
そもそも自律神経とはなんなのか?
自律神経とは自分の意思で動かしていない自動的に働いてくれる神経のことです。
簡単に説明すると食べ物を食べると胃で消化されますがこれを自分の意思で出来る方はいないと思います。こういった自分の意思でうごかさなくても働いてくれている神経のことを自律神経と言います。
そしてこの自律神経は交感神経と副交感神経という2つの神経に分けられます。
交感神経が興奮の神経、副交感神経がリラックスの神経です。
勘がいい人ならもうお気付きですね?
そうです。交感神経が優位になると興奮している状態なので筋肉が緊張してしまいます。
常に緊張している状態で不意に腰を動かしたりすることで筋肉の繊維が部分的に断裂し炎症を起こし、ギックリ腰になるのです。
ですから普段は副交感神経優位でリラックスしていられる状態を作ることがギックリ腰を繰り返さないために非常に大事になります。
では副交感神経優位になる為の自宅での対処法をご紹介します。
腹式呼吸
呼吸の大事さは良く耳にすると思いますがその理由までは知らない方が多いです。
なぜ呼吸が大事なのか?それは呼吸が自動的に働く自律神経と自分の意志でも動かせるという神経の両方を兼ね備えた数少ない機能だからです。
呼吸は寝ているときも自動的に行ってくれる自律神経ですが自分の意志で呼吸することも、もちろん可能です。
さらにコントロールも可能になっており、息を吸う時は交感神経、息を吐く時は副交感神経が優位になって働きます。
腹式呼吸は吐く時間を長くすることで副交感神経がしっかり刺激することができます。
お風呂の湯船に浸かりながらやってみたり、夜寝る前にする事でより高い効果を望むことができます。
その他にも腹式呼吸は体幹のインナーマッスル(腰の安定性などに凄く関係する筋肉)を鍛える効果もあるので副交感神経優位になれると同時にギックリ腰予防のエクササイズにもなります。
腹式呼吸のやり方は
1.仰向けで膝を立てて寝ます。
2.鼻から空気を吸いこみお腹を膨らませます。
3.口から細く長く吐きだしお腹をへこませます。
※吐くときに、おへその下周辺を目いっぱい凹ましながら吐きましょう。
(感覚としてはお腹を背中にくっつける感じです)
基本的に吐く時間を吸う時間の倍の長さにします。例えば5秒吸ったら10秒吐くという感じで行ってください。
1セット5回を最低3回を目標にやりましょう。
慣れてきたら立った状態でもできるので仕事や家事の合間にこまめにやっていくことをお勧めします。
4.内臓への負担
先程、ギックリ腰には意外と自律神経が深く関係していると説明しましたが、もう一つ意外と思われる場所も関係しています。
それは内臓です。
内臓も実は筋肉でできています。
内臓も負担がかかれば固くなってしまい、それが腰に反射を起こして腰が固くなってしまいギックリ腰になることはよくあります。
その中でも腎臓はギックリ腰にとても関わりのある臓器です。
腎臓はぎっくり腰の人に重要な腸腰筋というインナーマッスルのとなりにあります。
ですから腎臓が悪くなるとこの腸腰筋が必ずセットで緊張を起こしてしまいます。
ではどんなことで腎臓は悪くなるのか?
お酒を飲むと肝臓の働きでアルコールを分解するため、肝臓に負担がかかるのは聞いたことがあると思いますが、実は腎臓にもかなりの負担がかかっています。
お酒を飲むときはほとんどの方が塩分を多くとってしまいます。
さらに腎臓は冷えに弱い臓器です。
大体のお酒はキンキンに冷えた状態で出されますよね?
この冷えと塩分過多によりで腎臓にものすごく負担がかかってしまいます。
夏は特にお酒が進むので気を付けてください。
対処法
腎臓になるべく負担をかけないようにするにはお水を多く飲む事が大事になってきます。
1日の目安は 体重×30ml
体重60キロの人で1日1.8ℓ必要な計算になります。
お水を飲むと代謝がよくなりお肌も綺麗になります。
お水を多く飲む事を習慣化して腎臓をろ過するよう是非試してみてください。
まとめ
今回はギックリ腰になぜなるのか?なぜ繰り返すのか?そしてその予防法をいくつかご紹介させていただきました。
姿勢の歪みや日頃、腰にかけている負担によってギックリ腰になるというのは知っている方もいると思いますが、自律神経や内臓まで関与していると聞いて驚いた方も多かったと思います。
まぎれもなくギックリ腰は生活習慣の乱れからなる痛みです。
日頃から繰り返す作業や長時間の不良姿勢によって体には思いも寄らぬダメージが蓄積されています。
暴飲暴食も内臓だけでなく意外な所にも影響を及ぼしてしまうので生活習慣をしっかり見直しましょう。
はじめに述べたようにギックリ腰は急な痛みですが、正常な腰でギックリ腰はなりません。
もともと何らかの悪い影響が腰にある方しかギックリ腰にはなりません。その事をしっかりと理解して2度とギックリ腰にならないよう日々のケアを取り組んでみてください。